院長インタビュー
院長 瀨戸 良文

西宮北口で3代、60年以上
地域とともに歩んできたクリニック
クリニックの歴史を聞かせてください
私の父がこの西宮北口の地にクリニックを開いたのが1960年のことで、60年以上の歴史があります。
瀬戸家は江戸時代から代々医師の家系で、私が11代目、副院長の息子が12代目にあたります。元々は静岡県の御殿場で代々医業を営んでいましたが、祖父の代で神戸に移り、父がこの西宮北口に根を下ろしました。
1995年の阪神大震災の後に現在の場所へ移転しましたが、地域の皆様とのつながりはずっと変わっていません。中には、祖父の代からずっと足を運んでくださっている方もいらっしゃいます。2024年4月には循環器内科を専門とする息子が副院長として加わり、新たな体制での診療が始まりました。
院長を継がれた経緯は?
私自身、この西宮北口で育ちました。灘中・灘高に通い、京都府立医科大学に進学して1980年に卒業しました。その後、京都府立医科大学附属病院をはじめ、複数の病院で内科全般、特に消化器・肝臓の診療に携わり、1993年からは地元の兵庫医科大学で肝胆膵内科の講師を務めていました。
2004年に父が亡くなり、クリニックをどうするかという話になりまして。当院は阪神大震災後の復興住宅の中にあるクリニックで、地域にとって大切な場所でもありましたから、ここをなくすわけにはいかないという思いで継承を決めました。
大学病院で長年培ってきた肝臓や消化器の専門的な知識と経験を、地域の皆様のために活かしていきたいと考えています。

大学病院レベルの医療を、親しみやすさで届ける
肝臓の専門医が診る地域の内科
診療理念を聞かせてください
私がずっと大切にしていることは、「大学病院レベルの高度な医療を、町医者の親しみやすさで提供する」ということです。
大学病院では専門性の高い診療が受けられますが、長時間お待ちいただいた上に、診察は数分で終わってしまうということも少なくありません。お話ししたいことがあっても、なかなか聞いてもらえない。そういう経験をされた方は多いのではないでしょうか。
そうではなくて、大学で学んできた専門的な知識を、わかりやすく、親しみやすい言葉でお伝えしながら、患者様に理解していただく。そして一緒に治療を進めていく。やっていることは高度でも、相談の敷居は低く。それが当院の診療です。
どのような患者様が多いですか?
健康診断で肝機能の異常を指摘されて来院される方が多いです。当院は消化器・肝臓を専門としていますので、そうした方の受け皿になれればと考えています。
ただ、肝機能に問題がある方は脂肪肝だけではなく、コレステロールが高かったり、糖尿病をお持ちだったりと、生活習慣病を複数抱えていらっしゃることが少なくありません。ですから、肝臓だけを診るのではなく、生活習慣病全般をトータルで管理していくという形になります。
近年は脂肪肝の方が圧倒的に増えています。日本人の肥満者約4,000万人のうち、400万人以上が脂肪肝に該当すると言われています。もはや肝臓の病気の中で最も身近なものになっています。
胃カメラの検査体制は?

当院では、鼻から内視鏡を挿入する「経鼻内視鏡」で検査を行っています。口からの場合と違って嘔吐反射がほとんどなく、検査中も医師の説明を聞きながらご自身の目でリアルタイムに画像をご覧いただけます。
経鼻内視鏡は口からの内視鏡に比べてお体への負担が少ないため、鎮静剤を使わずに検査を行うことが可能です。検査が終わったらすぐにお仕事や普段の生活に戻っていただけますので、お忙しい方にもご利用いただきやすい検査です。一度経鼻内視鏡で受けられると「こんなに楽なのですね」とおっしゃる方が多いです。
ピロリ菌の検査や除菌治療にも対応していますので、胃の調子が気になる方はお気軽にご相談ください。

お一人おひとりの生活を聞いて
一緒に考える診療を
診療で心がけていることは?
お一人おひとりのお話をしっかり聞くことです。
お仕事が忙しくて運動する時間がない方、単身赴任で食事が偏りがちな方、お付き合いでお酒の席が多い方、皆様それぞれ事情がありますから、その方のライフスタイルを踏まえて何ができるのかを一緒に考えるようにしています。
健康のために食事や運動に気をつけた方がいいとわかっていても、日々の生活の中ではなかなか実行できないという方は多いと思います。しかし、皆様ご自身の健康をどうでもいいとは思っておられない。何とかしたいけど、なかなかできない。そこをサポートしていくのが、医師の役目だと考えています。
お仕事の内容や生活のリズム、食事の好みや習慣も含めて、お一人おひとりに合ったアドバイスやお薬の調整を行うこと。それは生活習慣病の治療に限らず、すべての診療に共通して大切にしていることです。
健康診断や予防接種にも対応していますか?
はい、西宮市の特定健診や長寿健診をはじめ、入職時や入学時の健康診断にも対応しています。血液検査がない場合は当日中に結果をお出しできますし、血液検査がある場合でも翌日にはお伝えできますので、お急ぎの方にもご利用いただきやすい体制です。
予防接種についても、インフルエンザや肺炎球菌、帯状疱疹、子宮頸がん(HPV)の予防ワクチンのほか、海外渡航に必要なワクチンにも幅広く対応しています。医療系の大学に進学される方から、必要なワクチンについてのご相談を受けることも多いです。
英語の診断書にも対応している?
はい、留学や海外出張・赴任をされる方に向けて、渡航に必要な健康診断や予防接種を行った上で、英語の診断書、紹介状、予防接種証明書の作成にも対応しています。
留学先の大学や渡航先によって求められる書類の形式は異なりますが、当院ではそうしたご要望にも柔軟にお応えしています。健康診断、予防接種、書類の作成をまとめてご相談いただけますので、渡航準備を進められている方はお気軽にお声がけください。

二人の専門医が支えるこれからの診療体制
地域の健康を、父と子で守り続ける
副院長を迎えて変わったことは?

大きく変わりましたね。私の専門である消化器・肝臓に加えて、副院長の専門である循環器内科が加わったことで、診療の幅が広がりました。
副院長が加わってからは心エコー(心臓超音波検査)や動脈硬化の検査機器も導入して、高血圧や脂質異常症を含めた生活習慣病について、より専門的な対応ができるようになっています。基本的に、私が肝臓や消化器を担当して、副院長が循環器と訪問診療を担当するという形で、二人の専門性を活かしながら幅広い疾患に対応できる体制が整いました。
副院長はどんな医師ですか?
よく勉強している医師だと思います。私も長年大学病院にいましたから、若い医師はたくさん見てきましたが、各疾患のガイドラインがしっかり頭の中に入っていて、患者様からどんなご相談があっても、根拠に基づいた説明がきちんとできる。
私は患者様のお気持ちに寄り添いながらお話しするタイプですが、彼はそれに加えて、データや所見を丁寧に示しながら論理立てて伝えるのが得意です。それぞれの持ち味がある二人の医師がいることは、患者様にとっても良いことなのではないかと思っています。
副院長は大学で研究を続ける道もあったのですが、本人から「一緒にやりたい」と言ってくれまして。地域の患者様のために予防医療に取り組みたいという彼の思いに応えて、一緒にこのクリニックを良くしていきたいと考えています。
患者様へメッセージをお願いします
健康のことで何か気になることがあれば、どんなことでも構いませんので、まずは気軽に相談にいらしてください。「こんなことで受診していいのかな」と迷われる必要はありません。
私たちにできることは精一杯お応えしますし、もし当院で対応が難しいものであれば、連携している専門医療機関にしっかりとおつなぎします。
当院には消化器・肝臓の専門医と循環器の専門医が揃っていますので、幅広いお悩みにお応えできると思います。体のことで不安を感じた時に、気軽に足を運んでいただける場所でありたい。これからも地域の皆様の健康を、身近な場所からお支えしていきたいと思っています。
副院長インタビュー
副院長 瀨戸 悠太郎

心臓血管外科から循環器内科へ
「予防」にたどり着いた医師としての歩み
2024年から副院長として診療している?
はい、2024年4月から副院長として診療に加わっています。現在も神戸大学大学院の分子疫学分野の医学研究員として所属しながら、当院では金曜・土曜の外来と、月曜・金曜の訪問診療を担当しています。
祖父の代からこの地域で診療を続けてきたクリニックで、長く通ってくださっている患者様がたくさんいらっしゃいます。その方々にこれからも貢献していきたいという思いと、自分が学んできた循環器の知識を地域に届けたいという思い。その二つが重なって、ここで診療することを決めました。
循環器内科を選ばれた経緯は?

元々は心臓血管外科の医師でした。東京女子医科大学で研鑽を積み、心筋梗塞や大動脈解離といった緊急の手術が必要な患者様を数多く診てきました。
手術によって救える命がある一方で、すべての方が元通りの生活に戻れるわけではありません。そうした現実に向き合う中で、「こうなる前に防げたかもしれない」という思いが強くなっていきました。
病気になってから治療するのではなく、そうならないように予防の段階から関わっていきたい。その思いから循環器内科に転科して、神戸大学大学院では脂質異常症をテーマに研究に取り組み、学位を取得しました。

「健康寿命」を延ばすために
予防を軸にした循環器内科
予防医療で大切にしていることは?
ただ寿命を延ばすのではなく、元気に過ごせる時間を少しでも長くすること。つまり「健康寿命」を延ばすことが大切だと考えています。
高血圧や脂質異常症は症状がないため放置されがちですが、その間にも動脈硬化は静かに進行しています。心筋梗塞や脳梗塞といった大きな病気になってからでは遅い。そうなる前の段階でしっかりと管理していくことが、予防医療の本質だと思っています。
そのためにも、患者様ご本人に治療の意義を理解していただいて、納得した上で取り組んでいただくことを大切にしています。
高血圧の診療の特徴は?
初診の方にまずお願いしているのは、ご自宅で血圧を測っていただくことです。
クリニックでは緊張して血圧が高く出る方もいらっしゃいます。いわゆる「白衣高血圧」です。その数値だけを見てお薬を出してしまうと、実はご自宅ではそこまで高くなかったということもあります。
ですから、まず1~2週間ご自宅で血圧を記録していただいて、普段の血圧を把握した上で治療が必要かどうかを判断するようにしています。初診の段階から丁寧にご説明して、患者様と一緒に方針を決めていくことを心がけています。
脂質異常症の治療で心がけていることは?
脂質異常症も高血圧と同様に症状がありませんが、放置すると血管の壁にコレステロールがたまって動脈硬化が進んでいきます。
治療の基本はお薬になりますが、患者様の中には「まず食事や運動で頑張ってみたい」とおっしゃる方もいらっしゃいます。そうしたお気持ちは尊重して、まず3ヶ月ほど生活習慣の改善に取り組んでいただき、その結果を見て次の方針を一緒に決めるようにしています。
大切なのは、患者様が納得した上で治療を続けていただくことです。お薬を飲むかどうかの判断も含めて、ご本人と丁寧に相談しながら進めています。

充実の検査体制で早期発見を
循環器の視点から睡眠時無呼吸症候群も
どのような検査に対応していますか?

循環器内科では、心電図や心エコー(心臓超音波検査)、ホルター心電図(24時間心電図)、ABI・CAVI(動脈硬化検査)などを行っています。血管の状態や心臓の動きを詳しく確認して、病気の早期発見につなげることが目的です。
中でも特徴的なのが、AI解析機能を搭載した心電図です。通常の心電図検査を行うだけで、心房細動という不整脈の発症リスクを4段階で判定することができます。
AI心電図について詳しく教えてください
心房細動は放置すると心不全や脳梗塞につながる可能性がある不整脈ですが、発作的に起こるタイプは通常の心電図だけでは捉えにくいという課題があります。
当院ではまずAI心電図でリスクの高い方をスクリーニングして、必要に応じてホルター心電図で詳しく調べるという流れで診療を行っています。早い段階で心房細動のリスクに気づくことが、将来の重大な病気を防ぐための一歩になると考えています。
循環器の症状で多いご相談は?
「ドキドキする」「胸がギュッとなる」といった症状で来院される方が多いです。こうした症状の背景に不整脈が隠れていることがあります。
不整脈の中には治療が必要なものもあれば、経過を見るだけで問題のないものもあります。検査を受けて「心配のない不整脈ですよ」とお伝えすると、それだけで安心されて、その後は症状が気にならなくなったという方もいらっしゃいます。
気になる症状がある場合は、まず検査で確認していただくことが大切です。特に、脈が不規則になるような症状がある場合は、心房細動の可能性もありますので、早めにご相談いただければと思います。
睡眠時無呼吸症候群にも力を入れている?
はい、循環器専門医の立場から、睡眠時無呼吸症候群の診療に積極的に取り組んでいます。
睡眠時無呼吸症候群は「いびきの問題」と思われがちですが、実は高血圧や心房細動、心不全、脳卒中との関連が指摘されています。当院では、循環器の症状をきっかけに検査をおすすめして、睡眠時無呼吸症候群が見つかるというケースも少なくありません。
検査は簡易検査も精密検査(PSG:終夜睡眠ポリグラフ)もご自宅で受けていただけますので、入院の必要はありません。CPAP(シーパップ)療法を継続されている方からは、「起きた時の頭痛がなくなった」「日中の眠気が改善した」「夜中にトイレに起きる回数が減った」といったお声をいただいており、QOL(生活の質)の向上につながる治療だと感じています。

長く通ってくださった患者様を、これからも
循環器専門医による訪問診療
訪問診療を始めたきっかけは?
当院に長年通ってくださっていた患者様が、ご高齢になって通院が難しくなるケースが増えてきました。ずっと診させていただいてきた方々を、通えなくなったからといってそこで終わりにはしたくない。できるだけ長く支えていきたいという思いから、訪問診療を始めました。
ご高齢の方に多い心不全の管理など、循環器の専門性を活かした対応ができることは、大きな意義があると感じています。在宅医療に詳しいスタッフも在籍しており、制度や費用に関するご質問にもお応えできる体制を整えています。
クリニックの今後の展望は?
検査体制をさらに充実させて、予防のための診療により力を入れていきたいと考えています。循環器に関連する各種エコー検査をはじめ、患者様の状態をより正確に把握できる環境を整えていくことが目標です。
このクリニックがずっと大切にしてきた、「患者様にしっかり向き合い、お話を聞く」というスタイルは変えずに、そこに今まで以上に、予防の視点と検査の力を加えていきたい。守るべきものは守りながら、新しいことにも積極的に取り組んでいきます。
患者様へメッセージをお願いします
私は心臓血管外科の現場で、心筋梗塞や大動脈解離で運ばれてくる方々を数多く診てきました。その中には、高血圧や脂質異常症を指摘されていながら、症状がないために放置されていた方が少なくありませんでした。
そうした経験があるからこそ、「そうなる前に関わりたい」という思いで日々の診療にあたっています。健康診断で気になる数値を指摘された方、動悸や息切れ、朝の頭痛や日中の眠気が気になる方は、ぜひ一度ご相談ください。
健康寿命を延ばすために、今できることを一緒に考えていければと思っています。